会長挨拶

 このたび、令和6年5月の第45回通常総会後に開催された理事会にて第12代会長を務めさせていただくことになりました中嶋幹夫でございます。職責を思いますと、あらためて、その任の重さを実感するところであり、身の引き締まる思いであります。

 振り返れば、令和5年度は新しい生活習慣に順応していくポストコロナと呼ばれる時代に移行し、大雨や台風、令和6年1月の能登半島地震など自然災害が多かった年でありました。また、我々の業界を取り巻く環境は、不安定な世界情勢や歴史的な円安を起因とする原材料・エネルギー価格の高騰による生産コストの上昇、人手不足によるサプライチェーンの混乱、物価高による節約志向の高まりなどの影響を受け続けており、非常に厳しい状況下にあります。

 我々タンナーは革製品の製作に必要となる革素材を供給するだけでなく、食肉文化が続くかぎり産出される畜産副産物のひとつである動物の皮を無駄にせずエコでサステナブルな天然素材に加工できる事業者でもあります。2024年3月には消費者に誤解なく理解してもらえるようにJISでも「革」「レザー」と呼べる製品は動物由来のものに限定すると規定されました。

 令和6年度は、タンナーの役割と日本産の革の魅力を広く皆様に伝えるべく、全国各地の百貨店等とのコラボイベント「日本革市」や更なる高付加価値化を目指したショールーム型プレミアム展示会を開催するだけでなく、年間を通して国内外の消費者にもジャパンレザーアイテムをPRできるデジタル施策も推進してまいります。さらにSNS等を積極的に活用して製革業のイメージアップにも努めながら、消費者に国内タンナーの優れた技術力などを直接伝えることのできる工場見学企画や動画制作をとおしたPR活動も計画しています。

 最後に、私ども日本のタンナーの再現性に優れた技術力は世界にも通じると自負しております。消費者の様々なニーズを反映しながら、安全・安心で日本の気候と風土に適した高品質な日本産の革を生産できるよう鋭意努力してまいります。長く使うほどに馴染み、経年変化も楽しめるエコでサステナブルな天然素材である本革を今後ともご愛顧賜りますようどうぞ宜しくお願い申し上げます。

令和6年6月


日本タンナーズ協会会長
中嶋幹夫