令和4年5月の第43回通常総会後に開催された理事会にて引き続き会長を務めさせていただくことになりました。職責を思いますと、あらためて、その任の重さを実感するところであり、身の引き締まる思いであります。
振り返れば、令和3年度は、一昨年に続き新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた一年でした。供給制約によるサプライチェーンの混乱は今もなお続いており、さらにエネルギーや原材料価格の高騰など我々の業界を取り巻く環境は一層厳しさを増しております。世界ではロシアによるウクライナ侵略という国際秩序の根幹を揺るがす新たな脅威に直面しており、力による一方的な現状変更ならびに一般市民を巻き添えにする非人道的な行為は、断じて許されるものではありません。
さて、私どもタンナーは、革製品に必要となる革素材の生産者だけでなく、食肉文化が変わらず続く限り必然的に副産物として産出される天然資源である動物の皮を、無駄にせず有益な天然素材に加工できるというエコでサステナブルな事業者でもあります。今後もデジタルトランスフォーメーション、カーボンニュートラル、SDGs(持続可能な開発目標)、サプライチェーンの再構築など業界を取り巻く情勢を正しく認識しながら循環型社会の構築と維持に貢献してまいる所存であります。
令和4年度は、日本産の革の魅力を広く皆様に伝えるべく全国各地の百貨店等とのコラボイベント日本革市の開催だけでなく、年間を通してその良さなどを感じてもらえるような施策も拡張していきます。国内外の様々な業種が来場・参加する国内展示会への出展。SNS等を活用して若い世代に向けたコンテンツを発信するPR活動。国内タンナーがプライドをもって生産した革が使用されていることが一目で分かるタグを介した周知活動など、アナログとデジタル双方を活用したハイブリッド型のPR活動を積極的に展開してまいります。
最後に、私ども日本のタンナーの技術力は世界にも通じると自負しております。日本の気候と風土に適したモノづくりだけでなく、消費者の皆様の様々なニーズにも即応した安心・安全で安定した高品質な日本産の革を生産できるよう一意奮闘してまいります。本革は天然素材であるため1つ1つに豊かな表情があります。使うほどにその個性が磨かれていきますが、さらに手入れもしていただければ、あなただけのアイテムにも育ちます。使うほどに馴染んでいく本革と共に過ごす時間は、かけがえのないものです。経年変化を楽しみながら長く使えるエコでサステナブルな素材である本革を今後ともご愛顧賜りますようどうぞ宜しくお願い申し上げます。
令和4年7月
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森脇繁行